【山小屋アルバイト体験談】がっつり稼げる!?山小屋の仕事と給料

Tsurugisawa 山小屋

これから夏山シーズンに向け、多くの山小屋が開き始める季節になってきました。

登山好きの方なら一度はお世話になったことがある山小屋。
夏山に限らず、通年開いている山小屋もあり、山のオアシスのような場所。
そんな山小屋で働いている人々は、どのようにして山小屋に行き着いたのか、仕事内容は何をしているのか?どんな生活を送っているのか、食事は?給料は?謎に包まれた山小屋生活をお伝えして行きたいと思います。

目次

私の働いていた山小屋

Mt.Tsurugi

私の働いていた小屋は北アルプスの劔岳の山小屋です。

標高2999mの山頂までのほとんどが岩棱帯で「岩と雪の殿堂」と称される剱岳。

ここでは便宜上、山小屋の名前は伏せさせていただきますが、剱岳登山を目指す方のベースキャンプとして重要なポイントにある小屋でした。山小屋までは一般的なペースで半日ほどかかる山の中です。
もちろん小屋の周りには、コンビニも自販機もありません。

山小屋で働いてみようと思ったきっかけ

看護学校を卒業し看護師として働いていた頃、登山にはまり、休みのたびに登山のために長野や岐阜などに足を運んでいました。

その時に山小屋でお世話になることが多々ありました。
数年働いた頃、好きな事をしたいと思い、思い切って仕事をやめ大好きな山で働きたいと考えました。
場所は過去に登って感動した、剱岳がいいと思い応募しました。

アルバイトの募集は「ヤマケイオンライン」や「インクノット」を見て探しました。

山小屋アルバイトの期間

Mt.Tateyama&koya

山小屋も個人経営・グループ経営、通年営業・夏季のみの営業など経営方法も異なるため、雇用様式も異なってくるようです。

私が働いていた小屋は家族経営で、長期(6月の小屋開け~10月の小屋閉めまで)・中期(7~9月)・短期(8月)の3種類の雇用形式がありました。私は長期アルバイトで申し込みました。

山小屋での仕事

仕事内容

Snow

山小屋の主な仕事は、登山者の休息の場の提供登山道の整備要救助者の救助・保護がメインになります。
アルバイトもこれらの仕事に沿ったサービスを提供できるよう日々働いています。

アルバイト申し込みから入山

Heli

申し込みの際、登山経験などを記した履歴書を送付しました。
後ほどわかったのですが、共に働いたスタッフの中にはほとんど登山経験ない人もいましたので、登山経験はそれほど重要ではないようです。

しばらくして、支配人から合格の通知と、入山に際して準備するものについて電話連絡が来ました。そしていよいよ入山の日。麓の事務所にて集合し、家から送った荷物をヘリで運べるようまとめて、山小屋へ向かいました。

入山から小屋開け・営業開始まで

Snow Water

私が入山した時期は6月でしたが、まだ雪もたっぷりあり残雪の中を山小屋まで約半日歩きました。

道中、雷鳥に出会ったり(!)、立山・劔の雄大な景色を眺めながらの登山でした。
ヘトヘトになりながら小屋に到着して、とりあえず休憩…とはいかず。小屋が冬季の雪に潰されないよう、全面板で塞がれているので、それを外す作業をしなければいけませんでした。
そして、発電機をつける作業や、開いた小屋の中の整理など小屋を使うための最低限の準備を行いました。

その日はひと段落ついたところで、みんなで自己紹介を兼ねた夕食と宴会が始まりました。
翌日から小屋を営業するために必要な作業をスタッフ総出で行ないます。

山小屋の仕事内容

仕事は色々ありますが、もっとも大事なのは水の確保
標高の高い小屋ですが、日本海に面しており降雪も多く、雪解け水が豊富にあります。支配人は水を確保するポイントを熟知しており、水場から小屋まで重さ数十キロあるホースをつないでいきます。

7月から営業開始になるので6月は公には営業していませんが、登山者はいるので宿泊する方もいらっしゃいます。来客のある時は食事の準備や、接客を行うことはありますが日中は基本的に雪渓カットという雪渓をスコップで切り道を作る作業がメインになります。

夜は小屋明けに向けて食事の準備の練習をおこないます。
長期アルバイトの中で炊飯・ボイル担当揚げ物担当キャベツ千切り担当の3つに分かれて調理していました。

山小屋での一日

Dinner

小屋は6〜10月まで営業しています。6月は準備期間なので公には営業していません。

その後7月から営業開始し、9月の3連休までは本格的な登山シーズンで、来客も多く繁忙期となります。
その後10月の中旬頃まで営業し小屋閉めとなります。

1日の流れ

 ハイシーズンの晴れた1日のスケジュールを紹介します。

Schedule

宿泊者数により内容は変わります。

天気が良いと8・9月の連休はかなり多忙です。逆に台風が来る平日はほとんど誰も来ないため、暇すぎて一日中掃除したり・・・と差が激しいです。
また、悪天候が続きヘリが飛ばない時や多忙すぎて物資が不足した際は、歩荷(ぼっか)といって登山口まで降りて荷物を担ぎ上げることも何度かありました。

日中の作業内容も雪がある時は雪渓カット。雪がなくなると石垣づくりのための石拾いと言ったように時期によって様々でした。

基本的に男性陣は力仕事がメインで、女性陣は売店の仕事などの接客がメインです。

休日の過ごし方

Hamburger

私の場合、最初の休みは入山して1.5ヶ月経った頃、2日間の休みがいただけました。
最初はスタッフがいないので仕方ありません。その後はスタッフも増えるので、1ヶ月に1〜2日ほど休みがもらえます。

休日の過ごし方ですが登山にいく人、他の小屋に遊びに行く人など様々でした。
私の場合、制限のある山の中にいると無性にジャンクフードが恋しくるため、下山日あるいは帰ってくる日に立山や奥大日岳を登るなど、道中に登山を組み込みながら、街で好きなものをたらふく食べていました。

山小屋バイトの給料

Money

気になる給料ですが、小屋によって給料体制は異なるため求人情報を参考にしていただければと思います。

私の小屋では日給制で一日¥8000でした。
給料は小屋を閉め下山する日に、小屋で現金支給されます。なので途中、休みで少しお金が欲しいと言う際は前借りとしてもらうことも可能でした。

バイト期間が約4ヶ月ですので、休みを引いて約100日近く働いていることになります。そのため、下山の際は現金約80万円を抱えながら歩くことになります。この時ばかりは、どんなに重い歩荷よりも慎重になりました。

このように途中で給料が支給されず、使うところも無いためガツンとお金が貯まります。下山後旅に出るなど目的がある人にはいいかもしれません。
ただし、ハイシーズン中は一日約15時間働く日もあります。そのため、時給で換算すると約¥500と決して割の良い仕事ではないです。

山が好きで楽しみながら仕事しお金がもらえると考えると給料だけでは換算できない価値があると思います。

まとめ

仕事としては楽なものでは無いですが、いい景色を見ながら汗を流し、登山客を見送るのも悪く無いです。
また、山小屋にいることで得られることもたくさんあります。

ここでは仕事を中心に話してきましたが、今後、生活環境や山小屋アルバイトのメリットなど、お伝えしていきたいと思います。